白玉点滴(グルタチオン点滴)の話
産科診療をしてきた私にはグルタチオンは馴染みのあるもので、妊娠初期の悪阻・つわり点滴に保険適用となり、1日当たり500mlの補液製剤に200mg程度のグルタチオンをトータル7日くらい投与すれば、ある程度の食事摂取が可能になる妊婦さんが多かったものです。
その観点から申しますと、今、「脱」保険診療の時代、健康と美容を兼ね沿える意味で、現在多くの医療施設が行っているグルタチオン点滴を自院でも行うことにしました。
① グルタチオンは日光など紫外線に対する反応で、皮膚上皮の基底層でのメラニン生成を抑える働きがあります。将来のメラニン色素が分解されないためにおこる、シミ形成そのものを抑えていきます。
さらに、今あるシミ(メラニン色素)の分解を手助けするビタミンCとの併用で美白を目指せます。
もう一つ 肝斑(ホルモン分泌等でメラノサイトの機能亢進で起こる色素沈着)にも応用されています。
さて、カラダを形作るのはすべて細胞です。一説には30兆個余りの細胞がそれぞれに新陳代謝されて新生したり代謝されて活動しています。
その細胞の主にミトコンドリアや種々の酵素反応で空気で取り込まれた酸素が活性酸素として産生されます。
② 実は取り込んだ酸素から活性酸素になることで人間の生命の営み、例えば、
「細胞伝達物質」や細胞の新生と自死の「生理活性物質」や「免疫機能・感染防御」として働く非常な有用なものですが、過剰に産生されてしまうと細胞の損傷をきたしやすくなり、血管の内皮細胞(血管の壁を維持します)を痛めつけて、心臓血管はじめ各臓器の血管に影響を与えたり、細胞の変異でがん細胞を生む原因にもなります。
このように、活性酸素の産生が抗酸化防御機構を上回った状態を『酸化ストレス』といいます。
グルタチオンはヒダミンA・E・Cの抗酸化ビタミンと同じように抗酸化物質の一つとして数えられています。
それから、肝臓の役割として
1.代謝 多くのお薬の代謝も肝臓です。
ブドウ糖の一部はグリコーゲンという形で肝臓に蓄えられていて、必要な時にブドウ糖として血液中に放出されます。体の中で重要な働きをするタンパク質のアルブミンや出血を止める凝固因子も肝臓で作られ、血液中に放出されています
2.解毒作用 摂取した物質(アルコールや薬剤など)や代謝の際に生じた体に
有害な物質を、毒性の低い物質に変え、尿や胆汁中に排泄します。
3.胆汁(脂肪の消化(乳化)・吸収を助ける働き) の生成・分泌
→③グルタチオンの3つのアミノ酸から多くはこの肝臓で作られますが、年齢とともに生産量が下降し、そこにアルコール過飲など大量に分解すると肝機能も停滞していきます。外からのグルタチオン補給で肝機能の庇護になります。つわりの点滴もひとえに肝臓の解毒作用の治療的な役割を担っています。